公開日 2021年07月01日
平成30年7月豪雨などの近年の豪雨等によりため池が被災し、甚大な被害が発生しています。
このため、農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止するため、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」(平成31年4月26日法律第17号)(以下「管理法」)が制定されました。
また、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進を図るため、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」(令和2年6月19日法律第56号)(以下「特措法」)が制定されました。
この法律等でそれぞれ、次のように定義されています。
1.農業用ため池(管理法で定義)
2.特定農業用ため池(管理法で定義)
3.防災重点ため池(この法律で定義されているものではありません。)
4.防災重点農業用ため池(特措法で定義)
農業用ため池の届出、防災重点ため池の選定及び特定農業用ため池の指定状況については、徳島県のホームページで公表されています。
農業用ため池の届出箇所を地図に落とした「ため池マップ」を別ページで公表しています。
ため池の堤が決壊した場合の付近の浸水状況を予想した「ため池ハザードマップ」を別ページで公表しています。
農業用ため池
農業用水の供給に使われている貯水施設のうち、人工的に作られた施設としての「堤体」及び「取水施設」で構成されたもの
〇現に使われている施設
〇現在は使われてれていないが、農業用に利用できる状態にある施設
・受益地がなくなり農業用の利用を廃止していても、堤体があり管理が行われておらず、大雨の際に被害を及ぼすおそれがある施設
✖農業用の利用を廃止し、他用途(工業、養魚、生活等)で適切に管理され使われている施設
✖「堤体」又は「取水施設」がない施設
・掘込式の貯水池(堤体がない)
(法律)
- 農業用水の供給の用に供される貯水施設であって農林水産省令で定める要件に適合するもの。
※河川法に規定する河川管理施設、専ら治水や他用途に利用されているため池は該当しません。
(農林水産省令)
- 堤体及び取水設備により構成される施設であること。
- 基礎地盤から堤頂までの高さが15m以上の施設にあっては次のいずれにも該当しないものであること。
イ.河川法に規定するダム
ロ.貯水施設の構造に関する近代的な技術基準に基づき設置された施設であって、その所有者又は管理者が当該施設の管理に関し土地改良法若しくは資源機構法の施設管理規定を定めているもの。
特定農業用ため池
農業用ため池のうち、決壊により周辺区域に人的被害が及ぶことが懸念されるとして、管理法に基づき都道府県知事が指定したもの。
(法律)
- 都道府県知事は、農業用ため池であってその決壊による水害その他の災害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものを、特定農業用ため池として指定することができる。
(政令)
- 当該農業用ため池の決壊により浸水が想定される区域(浸水区域)のうち当該農業用ため池から水平距離が100m未満の区域に住宅等が存すること。
- 貯水する容量が1,000立方メートル以上であり、かつ浸水区域のうち当該農業用ため池からの水平距離が500m未満の区域に住宅等が存すること。
- 貯水する容量が5,000立方メートル以上であり、かつ浸水区域に住宅等が存すること。
- 前3号に掲げるもののほか、当該農業用ため池の周辺の区域の自然的条件、社会的条件その他の状況からみて、その決壊による水害その他の災害を防止する必要が高いと認められるものとして農林水産省令で定める要件に該当するものであること。
(農林水産省令)
- 政令に掲げる要件に該当する農業用ため池に準ずるものであること。
- 当該農業用ため池の管理を行うものを確知することができないことその他の状況からみて、当該農業用ため池が決壊した場合にはその周辺の区域の住宅等の居住者又は利用者に被害を及ぼすおそれが大きいと認められること。
防災重点ため池
決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設が存在し、人的被害を与えるおそれのあるため池として、「防災重点ため池の再選定について」(平成30年11月13日付け30農振第2294号農村振興局整備部防災課長通知)に基づき選定されたため池。
ため池マップや緊急連絡体制の整備など避難行動につながる対策を講じるとともに、優先度に応じてため池の補強やハザードマップなどの対策を実施するため池。
選定の要件等は、基本的に「特定農業用ため池」と同じであり、防災重点ため池には国や地方公共団体の所有するため池が含まれる。
防災重点農業ため池
農業用ため池のうち、決壊により周辺区域に人的被害が及ぶことが懸念されるとして、特措法に基づき都道府県知事が指定したもの。
(法律)
- 都道府県知事は、基本指針に基づき、農業 用ため池であってその決壊による水害その他の災 害によりその周辺の区域に被害を及ぼすおそれが あるものとして政令で定める要件に該当するもの を、防災重点農業用ため池として指定することが できる。
(政令)
- 当該農業用ため池の決壊により浸水が想定される区域のうち当該農業用ため池からの水平距離が100メートル未満の区域に住宅等が存すること。
- 貯水する容量が1,000立方メートル以上であり、かつ、浸水区域のうち当該農業用ため池からの水平距離が500メートル未満の区域に住宅等が存すること。
- 貯水する容量が5,000立方メートル以上であり、かつ、浸水区域に住宅等が存すること。
- 前3号に掲げるもののほか、当該農業用ため池 の周辺の区域の自然的条件、社会的条件その他の状況からみて、その決壊による水害その他の災害を防止する必要性が特に高いと認められるものとして農林水産省令で定める要件に該当するものであること。
(農林水産省令)
- 令第1号から第3号までに掲げる要件に該当する農業用ため池に準ずるものであるこ と。
- 当該農業用ため池の管理を行う者を確知することができないことその他の状況からみて、当該農業用ため池が決壊した場合にはその周辺の区域の住宅の居住者又は利用者に被害を及ぼすおそれが大きいと認められることとする。
用語の解説
管理法:農業用ため池の管理及び保全に関する法律
「特措」と区別するために本ページでは「管理法」と表現
特措法:防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法
「管理法」と区別するために本ページでは「特措法」と表現
政令:管理法及び特措法に基づく各施行令
(管理法)農業用ため池の管理及び保全に関する法律施行令
(特措法)防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に 関する特別措置法施行令
農林水産省令:管理法及び特措法に基づく各施行規則
(管理法)農業用ため池の管理及び保全に関する法律施行規則
(特措法)防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に 関する特別措置法施行規則
近代的な技術基準:土地改良事業計画設計基準「コンクリートダム」(昭和40年10月)、「フィルダム」(昭和41年6月)以降の基準
河川管理施設等構造令(昭和51年政令第199号)
住宅等:住宅又は学校、病院その他の公共の用に供する施設をいい、当該浸水によりその居住者又は利用者の避難が困難となるおそれがないものを除く。