公開日 2026年03月25日
はじめに
本市は、2028年の都市像として「輝く個性を育む 自然と調和した産業都市 阿南」を掲げ、次世代を担う子どもたちの育成に力強く取り組んでいます。この目指す都市像の実現に資する理工系人材、そして本市のさらなる発展に寄与する人材を育てるための新たな一歩として、今年度において「阿南市の未来を担う子どもの体験学習支援補助(大阪・関西万博チケット補助事業)」を実施しました。
この制度を活用し、昨年10月13日に惜しまれつつ閉幕した「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」へ、市内の児童生徒200人が足を運びました。テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を肌で感じ、世界の最先端技術や多様な価値観に触れた子どもたちの中から、 特に感性豊かでキラリと輝く報告書を提出してくれた5人の子どもたちが岩佐市長に感想や思い出を報告しに来てくれました。子どもたちの目には、未来の地球や最先端の技術がどのように映り、そしてどのように感じたのでしょうか。
本記事では、この学習支援補助のフォローアップ事業として開催した「岩佐市長と子どもたちの意見交換会」の様子と、子どもたちが万博で得たかけがえのない「学び」について、市民の皆様にご報告いたします。
子どもが感じた「いのち輝く未来社会」と私たちの未来について

今回の意見交換会には、万博を体験した200人の児童生徒の中から、ひときわ感性豊かでキラリと輝く報告書を提出してくれた、小学2年生から中学2年生までの5人の子どもたちが参加しました。彼らが各国のパビリオンで学んだ環境技術や新エネルギー、最先端の研究について、自分の言葉で熱く語ってくれた内容をご紹介します。

循環型社会の最前線~ドイツパビリオンでの気付き~(富岡東中学校2年・石井 仁菜(いしい にな)さん)
石井仁菜さんが最も心を動かされたのは、環境先進国として知られるドイツのパビリオンでした。
そこでは「循環型社会(サーキュラーエコノミー)」をテーマに、風力発電や太陽光発電といった自然エネルギーがどのように活用されているかが、非常に分かりやすく展示されていましたと報告してくれました。
特に驚きをもって報告してくれたのは、建物そのものが「再利用できる植物由来の建材」で作られていたことです。種から建材になるまでのプロセスが紹介されているだけでなく、研究開発の最新の成果として「キノコの菌糸体と練り土を使ったパネル」が展示されており、将来はこれが建材として使えるかもしれないと聞いて、とても驚いたとのこと。建材だけでなく、エネルギーの面でも環境にやさしい取り組みが紹介されていて、環境への負荷低減を意識していることがよく分かりましたと語ってくれました。
こうした取り組みが日本でも広がり、自然への負担を減らせるようになってほしいと、これからの未来に向けて環境問題をより深く考えていく力強い決意を聞かせてくれました。

圧倒的な建築美と、未来を救う「藻」の研究(羽ノ浦小学校6年・矢上 青(やかみ あお)さん)
矢上青さんは、会場に到着してまず、連日ニュースでも話題になっていた万博のシンボル「大屋根リング」の巨大さに圧倒されたそうです。
実際に目の前にすると、想像していたよりもずっと大きく、まるでお城の城壁のような迫力があり、木造であんなに巨大なものが作れるなんて、日本の建築技術はすごいと思いましたと、世界に誇る日本の技術力を肌で感じたことをキラキラした眼差しで報告してくれました。
数あるパビリオンの中で一番心に残ったのは日本館で、そこでは地球の未来を守るための多様な研究が紹介されていました。
矢上さんは特に「藻」を活用した研究に目を奪われました。「これまで特に気にしたこともなかったものが、いろいろな問題を解決するヒントをくれている気がしました」と語ってくれました。
この訪問をきっかけに環境に対する興味がさらに深まり、「未来の地球を守っていける技術を考えたい」と、科学への純粋な探究心が溢れるコメントを残してくれました。

自然と完全に共存する未来のエネルギーサイクル(津乃峰小学校5年・石井 陸仁(いしい りくと)さん)
石井陸仁さんは、韓国パビリオンで紹介されていた「石油やガスなどの化石燃料に頼らない新しいエネルギーのアイデア」に強い関心を抱きました。特に、画期的で近未来的なエコシステムに感銘を受けたと報告してくれました。
まず、人が吐く息には水分と二酸化炭素が含まれています。そこから水素という気体を取り出す仕組みが考えられていました。取り出した水素を水素燃料電池に蓄えて生活の中で使い、水素を使うと水ができます。その水を植物にあげ、植物は水と二酸化炭素を使って育ち、光合成で酸素を出します。その酸素を人間が吸うという複雑なシステムを正確に理解し、説明してくれました。
また、ポルトガルやスペインなどのヨーロッパのパビリオンを巡り、世界の人々の「環境問題に対する意識の高さ」も実感したとのことでした。「自分が大人になる頃にこうした技術が実現していたら、地球への負荷が減って、もっと暮らしやすくなると思います」と、希望に満ちた未来を見据えていました。

便利さの裏にある「環境保護」の重要性を問う深い見識(平島小学校5年・坂野 悠真(さかの ゆうま) さん)
坂野悠真さんは、自動運転や空飛ぶクルマなど、万博が提示する「便利な未来社会」の姿にワクワクする一方で、非常に冷静で大人びた視点を持っていました。
「技術が発展するのはいいけれど、自然にやさしくない二酸化炭素やほかのものを排出している機械はいけないと思います。自動運転もいいし、空飛ぶクルマもいいけれど、一番大切なのは環境を守ることです」と、技術の進歩と環境保護のバランスについて深く考察しています。
また、「森林が減っているのは、私たち人間が伐採しているからです」と、人間の活動が自然に与える影響にも真正面から言及。「この万博の技術を街に置く頃には、もっと自然にやさしいようになっていてほしいです」と、持続可能な未来に向けた切実な願いを込めたメッセージは、私たち大人にも現在の生活を見つめ直すきっかけを与えてくれるものでした。

五感で感じた科学の魔法と、美しい自然を未来へとつなぐ(富岡小学校2年・永浦 朱夏(ながうら しゅうか) さん)
小学2年生の永浦朱夏さんは、期間中に何度も万博会場へ足を運び、様々なパビリオンを五感で楽しんだ様子を初々しい感性で報告してくれました。
パソナパビリオンでは、アトムとブラック・ジャックの案内で命の尊さを学び、iPS細胞が赤い液体の中で実際に動いているのを見て「これが人間の体に使われるなんてすごいな」と素直な驚きを示しました。また、電力館ではタマゴ型のデバイスを使った体験や足踏み発電を通じ、「石炭や石油を燃やすと地球が暑くなってしまうので、違う方法でエネルギーを作ることが大切だと思いました」と、エネルギー問題の核心に触れる学びを得ています。
さらに、クウェート館でプロジェクションマッピングに彩られた本物の美しい砂に触れ「こんなきれいなものをちゃんとのこしていかないといけない」と感じたことや、ガスパビリオンで「水とCO2でメタンというものができ、新しいエネルギーとして使える」という発見に目を輝かせたことなど、遊びの中から科学への興味がどんどん膨らんでいく様子が鮮明に伝わってきました。
市長と語り合う「こんな未来になってほしい!」

こうした素晴らしい学びと問題意識を持ち帰った5人の子どもたちを市役所に招き、岩佐市長との意見交換会が行われました。
最初は少し緊張した面持ちの子どもたちでしたが、いざ万博の話が始まると表情が変わり、想いを話すにつれて子どもたちの目はキラキラと輝き始めました。 「外国が行う環境問題への取り組みがとても良かった」「自然エネルギーをもっと阿南市でも使えないかな」「木造建築の技術を阿南市のまちづくりにも生かせるかもしれない」「早くこんな未来になってほしい!」など、自らが体験し、感じたことを自分の言葉で堂々と市長に共有してくれました。
また、AR(拡張現実)技術の面白さやiPS細胞の展示から感じた命の不思議などを通して、「科学や技術が私たちの未来をどのように支えていくのか」について活発な意見交換が行われました。
小学生、中学生という年齢の垣根を越え、万博という共通の体験を通じて「未来の地球と地域社会」について自分の感じた思いを語ることは、まさに本市が目指す「輝く個性を育む」つながる良い機会になりました。
岩佐市長からのエール~「?」を「!」に変える力を~

子どもたちの熱のこもった報告と、未来に向けた自由な発想による意見を真剣なまなざしで聞き入っていた岩佐市長は、未来を担う子どもたちに向けて次のような熱いエールを送りました。
「皆さんが大阪・関西万博に行き、自分の目で見て『これすごい!』『これどうなっているの?』と感じたその気持ちや探究心を、これからもずっと大切にしてほしいと思います。 生活の中には、まだまだ不思議なことがたくさんあります。皆さんの中の、不思議だなと思う『?(はてな)』をたくさん増やして、そして自分で調べたり、学んだりして『なるほど、すごい!』と思う『!(ビックリ)』に変えていってほしいと思います。失敗を恐れず、チャレンジしてみようと思うその心を、いつまでも持ち続けてください」
「?」を見つける好奇心と、それを「!」に変える探求心こそが、これからの予測困難な時代を切り拓き、阿南市の新時代を創り上げる最大の原動力となると考えます。
おわりに
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした万博での体験は、「阿南市の未来を担う子どもの体験学習支援補助事業」を利用した200人の子どもたちの心に、「科学への興味」、「環境への意識」、そして新しい未来に向けたワクワクを創造するなど「未来の種」をしっかりと蒔いてくれました。
阿南市はこれからも、子どもたちが科学や技術に興味を持つことができる機会の創出に全力で取り組んでまいります。そして何より、本市の宝である子どもたちの「生の声」に耳を傾け、失敗を恐れずに様々なことにチャレンジできる環境づくりを推進していきます。


