公開日 2023年02月09日
阿南市で少年時代を過ごした作家・北條民雄の著作『いのちの初夜』が2月放送の
NHK・Eテレの番組『100分de名著』にて紹介されます。
いのちの初夜は、ハンセン病患者を隔離・収容した病院が舞台の小説です。
ハンセン病とは、らい菌という細菌に感染することで起こる感染症です。らい菌の感
染力は非常に弱く、発症しても症状が急激に進行することはありません。しかし、皮膚
の病変や、手足や顔など見た目に変形が生じることから、感染者に対する人々の忌避
感は、結核など他の病よりも大きなものでした。
当時、ハンセン病には治療法がなく、感染ルートも科学的に解明されていませんでし
た。そのため、原因不明の不治の伝染病として恐れられ、さまざまな誤解と差別を生み
出してきました。その病に罹患した北條は、社会から隔絶された病院に収容されながら
も、筆を執り続け、本作を完成させるに至ります。
北條の本名が公開されるまで、没後80年近くもの長い時間を要するほど、ハンセン
病に対する社会の差別意識は根強いものでした。そのような環境下で、ハンセン病患
者の心と身体のリアルを赤裸々に描いた本作は、ハンセン病文学という枠組みを超えて、
すべての人間に共通する『生きる希望』を喚起する物語です。
放送日 月曜午後10:25~10:50
第1回 2月6日
第2回 2月13日
第3回 2月20日
第4回 2月27日
※放送内容及び放送日等は変更・休止する場合があります